罹患数の少ないがん種の患者は、自身のがん情報が入手しづらいと認識。がん情報収集に関する1,385名の実態調査を日本臨床腫瘍学会学術総会にてポスター発表。


株式会社クロエ(東京都豊島区 代表取締役 安藤 昌)、及び株式会社クリニカル・トライアル(東京都豊島区 代表取締役 滝澤 宏隆)は、がん情報サイト「オンコロ」を活用し、がん患者の情報収集に関する実態調査を実施し、7月19日より開催されている日本臨床腫瘍学会学術総会にてポスター発表を行いました。

がんに関する情報収集は、がん患者の重要な課題の一つであると言えます。医療者からの情報提供のほか、インターネットや患者交流など様々な手段がありますが、罹患者数が少ないほど、進行が進むほど情報収集が難しいと予想されます。そこでがん患者とその家族の情報収集の現状を明らかにするための調査を行いました。本調査において1,385名のがん患者とその家族に協力いただき、今回の発表は、がん患者576名にフォーカスした調査結果となります。


【調査結果サマリー】
・罹患数が少ないがん種患者は、5大がん患者と比べて、がん情報を収集しづらいと感じていました。
・ステージ4患者は、ステージ1~3の患者に比べて、情報を収集しづらいと感じていることはありませんでしたが、治療前の医師からの情報提供は不十分と感じており、治療環境は良くないと感じている傾向がみられました。
・医療機関の専門性と規模によって、治験情報へのアクセスに差がある傾向がみられました。

がん情報サイト「オンコロ」では、この結果をもとに、今後、罹患数の少ないがん種の情報配信を強化するとともに、関係各所と協力し、医療施設だけではカバーしきれないがんの情報提供を支援してまいります。


【調査手法】
目的:がん患者およびその家族のがん情報のアクセスに関する実態調査
手法:インターネット定量調査
実施媒体:がん情報サイト「オンコロ」(https://oncolo.jp/
実施期間:2018年2月1日〜2月28日
研究手法:1,385名の回答者のうち576名のがん患者のみに絞り、年間罹患数の多い部位のがん種(胃、大腸、肺、乳房、前立腺;本研究上、5大がんと定義)とそれ以外のがん、あるいはステージ1〜3とステージ4で集計、その比較をカイ2乗検定にて検討した。

【調査結果概要】
結果1.患者ステータス

A)ほとんどの項目において、5大がんと5大がん以外、ステージ13とステージ4との差は認められなかった。

 

B)ステージごとにほぼ均等な回答を得た。なお、95名(16.5%)はステージが存在しない、わからないと回答した。

 

C-1, 2)37種のがん種から回答を得たが回答数と罹患者数は相関がなかった。

結果2.がん患者の情報に対する認識

5大がんと5大がん以外においては差が認められなかったが、
ステージ1~3と比べ、ステージ4において治療前の医師の説明が不十分と感じていた。
(*p=0.178 **p=0.0059)

5大がん以外では、がん情報を入手するのが難しいと感じている。
一方、ステージ1〜3とステージ4において、差が認められなかった。
(*p<0.0001 **p=0.496)

5大がん以外では、患者同士の交流が活発化されていないと感じている。
一方、ステージ1〜3とステージ4において、差が認められなかった。
(*p<0.0001 **p=0.649)

結果.がん治療環境に対する認識

5大がん以外では、治療環境が良くないと感じており、
ステージ4においてもその傾向がみられる。
(*p<0.0001 **p=0.056)

結果.医療機関の治験情報に関する実態

がんセンター、大学病院、公立病院、医院/クリニックの順で、治験情報の提供は減少する傾向がみられた。
(*p=0.052 **p=0.057 ***p=0.403)
なお、5大がんと5大がん以外、ステージ1〜3とステージ4において、差はみとめられない。(データ掲示せず)

※本結果は、今回実施した1,385名の調査の一部であり、取得したデータは様々な解析が可能になっています。
今後、様々な角度から解析を進め、新たな情報取得の実態を見出していきます。