Patient Centricity(患者中心)やPPI(患者・市民参画)活動に関する患者調査

近年、PC(患者中心:Patient Centricity)やPPI(患者・市民参画:Patient and Public Involvement)といった患者の声を医薬品開発に取り入れる取り組みが進み始めています。一方で欧米に比べると、日本ではまだ課題も多く、取り組みが不十分な部分もあります。こうしたなか、今後PC/PPIの取り組みを進めていくうえで、患者がこの活動についてどう感じるのか調査を実施。がん・希少疾患・難病・CNS(Central Nervous System/中枢神経系)領域疾患の患者201名に回答いただき、患者視点でのPC/PPI活動の必要性を明らかにしました。このページでは調査結果のサマリを紹介します。フルレポートに関しては、以下よりダウンロードください。

PC/PPIの活動については高評価

●PC/PPI活動への評価は 「よい取り組みだと思う(TOP2計)」99%と高い評価。

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Q8.あなたは、製薬会社が行っているこのような活動についてどのように感じますか。【SA】

●PC/PPI活動参加・認知別に見ると “参加経験あり”“認知あり”層で評価が高い。PC/PPI活動参加意向別に見ても“意向あり”層で評価が高く、PC/PPI活動を認知している/参加意向がある層では活動評価が高い傾向が見られる。(n<30のため参考値)

Q8.あなたは、製薬会社が行っているこのような活動についてどのように感じますか。【SA】

●PC/PPIの具体的な活動ついて、いずれの活動も9割強が「意義がある(TOP2計)」と回答。

Q12.以下の製薬会社が行っている患者さんの声を活かす取り組み・活動ついて、もしあなたが参加する場合に、どのように感じますか。それぞれについて最もあてはまるものをお選びください。【SA】

●PC/PPI活動参加・認知別に見ると“参加経験あり”“認知あり”層で意義があるとの回答が多い。PC/PPI活動参加意向別では“参加意向あり”層 で多い。前頁の取り組み評価と同様に、 参加経験あり・認知あり/参加意向あり層の評価が高い傾向がみられる。(n<30のため参考値)

Q12S1.以下の製薬会社が行っている患者さんの声を活かす取り組み・活動ついて、もしあなたが参加する場合に、どのように感じますか。   ※2.0未満のスコアは非表示

それぞれについて最もあてはまるものをお選びください。製薬会社・医師・患者など異なる立場の人が参加するワークショップや講演会【SA】

PC/PPI活動参加経験者は少ないが、今後の参加意向は高い

●PC/PPI活動の「参加経験あり」は1割未満、「活動に参加したことはないが、聞いたことはある」(52%)「参加経験あり」とあわせても認知率は6割程度に留まる。

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Q9.あなたは、製薬会社が医薬品開発などの様々な企業活動の中で、患者さんの経験や声を取り入れていこうとする活動を行っていることをご存じですか。【SA】

●製薬企業に意見を伝える機会があれば9割強が「参加したい(TOP2計)」と回答。

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Q13.製薬会社が新しい薬の開発を計画する際に、あなたの意見を聴取する機会があったら参加したいと思いますか。【SA】

治験に関する情報入手経路は「治験紹介サイト」「主治医」が多い

●参加した治験を知った情報源は「治験紹介サイト」が最も多く70%、次いで「主治医」が22%。

Q14.参加した、または参加している治験のことは、どこで知りましたか。あてはまるものを全てお選びください。【MA】

●治験の領域別に見ると“がん”では「主治医」が8割と最も多く、“CNS領域”では「治験紹介サイト」が9割と最も高い。(n<30のため参考値、CNS領域に関しては生活向上WEB会員の方に回答いただいているため「治験紹介サイト」との回答が高くなっている可能性がある)

Q14.参加した、または参加している治験のことは、どこで知りましたか。あてはまるものを全てお選びください。【MA】

治験の情報入手が簡単か否かは意見が二分

●治験を自身で探した方の情報源は「検索サイト」(67%)がトップ、次いで「紹介サイト、ポータルサイト」(56%)。「製薬会社のホームページ」の利用者はいなかった。(n<30のため参考値)

Q16.前問で「自分で治験を探した」とお答えの方にお伺いします。治験に関する情報は、どこで取得しましたか。利用したものを全てお選びください。【MA】

●治験の情報入手に関しては「簡単に見つけることができた」が56%、「なかなか入手できなかった」が44%で結果は二分。 (n<30のため参考値)

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Q15.前問で「自分で治験を探した」とお答えの方にお伺いします。治験を探した際、すぐに見つけることができましたか。【SA】

治験結果を「知りたい」という声が多数

●自分が参加した治験の結果については8割強が「知りたい」と回答。結果を知る機会があったかについては「知る機会があった」は3割に留まり、希望と実態でGAPが確認された。

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Q18.あなたが参加した治験では、治験終了後にその治験の結果を知る機会がありましたか。【SA】

●治験参加経験別では“参加経験あり”層は「知りたい」が95%と全体より多く、治験領域別では“がん/希少疾患・難病”の全員が「知りたい」と回答。PC/PPI活動参加・認知別、参加意向別では“参加・認知なし”“参加意向なし”層では「知りたい」割合が低い。 (n<30のため参考値)

Q17.自分が参加した治験の結果(治験のデータ/治験薬の開発が進んだか/販売されたか)について、治験終了後にお知らせを

受けたいと思いますか。治験に参加したことがない方は、今後参加したと仮定してお答えください。【SA】

TYL(Thank You Letter)が必要だと思うの声は8割だが受け取ったことがある方は1割

●TYLを「必要だと思う/もらえると嬉しい」との回答が8割。受け取った経験については「受け取ったことがある」は1割強。ここでも希望と実態のGAPが明らかになった。

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Q19.治験に参加して、製薬会社からThank You Letter(サンキューレター)を受け取ったことはありますか。【SA】

Q20.製薬会社から治験参加者にThank You Letter(サンキューレター)が送られることについて、どのようにお感じになりますか。あなたのお気持ちに近いほうをお選びください。【SA】

●TYLを受け取った経験を治験領域別に見ると、“がん/希少疾患・難病”では受け取った方はいなかった。(n<30のため参考値)

Q19.治験に参加して、製薬会社からThank You Letter(サンキューレター)を受け取ったことはありますか。【SA】

TYL(Thank You Letter)の印象は「薬剤の開発に貢献できていると感じられる」

●TYLが必要かどうかについて、治験参加経験別では“参加経験あり”で「必要」との回答が9割超。治験領域別では“がん/希少疾患・難病”では全員が「必要だ」と回答(n<30のため参考値)。またQ8/Q12のPC/PPI活動評価の結果と同様、PC/PPI活動の“参加経験あり、認知あり”および”参加意向あり”層で「必要」が多い。

Q20.製薬会社から治験参加者にThank You Letter(サンキューレター)が送られることについて、どのようにお感じになりますか。あなたのお気持ちに近いほうをお選びください。【SA】

●TYLの印象については「薬剤の開発に貢献できていると感じられる」が最も多く66%、次いで「丁寧な印象を受ける」が58%。

Q21.Thank You Letter(サンキューレター)が必要とお答えの方にお伺いします。Thank You Letter(サンキューレター)についてあなたのお考えにあてはまるものを全てお選びください。【MA】

治験関連書類が「わかりにくい」との回答は2~3割

●治験関連書類の読みやすさ・わかりやすさに関しては「問題ない」との回答がいずれも6~7割。一方で「読みづらい・わかりにくい」との回答も2~3割で、治験に対する同意の意義を考えると今後の検討が必要。

Q22.「治験に参加したことがある」とお答えになった方にお伺いします。「同意説明文書」や治験に関連する機材等のマニュアル・手順書の読みやすさや・わかりやすさはいかがでしたか。それぞれについてあてはまるものをお選びください。【SA】

●治験領域別で見ると“がん”では、ICFを「読みにくい・分かりづらい」と回答した割合が他の領域と比較して相対的に高い。(n<30のため参考値)

Q22S1.「治験に参加したことがある」とお答えになった方にお伺いします。「同意説明文書」や治験に関連する機材等のマニュアル・手順書の読みやすさや・わかりやすさはいかがでしたか。それぞれについてあてはまるものをお選びください。同意説明文書(最初に渡される治験の説明および同意書)【SA】

治験内容をとても負担に感じたとの声は少数

●通院の回数/頻度、検査・採血の回数/頻度、検査・採血時の痛みや辛さについては、5~6割の方が「特に負担・不便を感じなかった」と回答。「とても負担・不便に感じた」との回答は1割未満。

Q25.治験の内容についてお伺いします。あなたは以下の項目についてどのようにお感じになりましたか。それぞれについてあてはまるものをお選びください。【SA】

●治験領域別に見ると“がん”ではどの項目においても「とても負担・不便に感じた」方の割合が高い。(n<30のため参考)

Q25S2. 治験の内容についてお伺いします。あなたは以下の項目についてどのようにお感じになりましたか。それぞれについてあてはまるものをお選びください。検査・採血の回数/頻度【SA】

治験内容を相談している方は半数以下に留まる

●治験の内容の医療従事者やCRCへの相談有無に関しては「ある」45%、「ない」55%と、二分する結果となった。

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Q26.治験の内容について医療関係者(医師や看護師、治験コーディネーターなど)に相談したことはありますか。【SA】

●訪問診療・訪問看護、 ePRO、eConsentを活用した治験の参加経験については「訪問診療・訪問看護」0%、 「ePRO」7%、 「eConsent」6%であり、まだまだ参加経験者は少ない。治験領域別では”がん”は全ての項目において参加経験者がいなかった。(n<30のため参考)

Q28.あなたはこれまでに、訪問診療・訪問看護、 ePRO、eConsentを活用した治験に参加したことがありますか。【SA】

調査総括

PC/PPI活動は評価をいただいており、各取り組みを今後も継続的に実施すべき。
活動毎に評価の差はなく、どの活動に重点を置くかは、再度調査や検討が必要。

●患者さんは、患者中心の医薬品開発にポジティブな回答であった。
●講演会や治験満足度調査等の各取り組みに関しては一様に評価が高く、差は見られない。

まずはPC/PPI活動の普及が求められる

●“活動参加経験あり(1割)”と“認知あり(5割)”を合わせ、認知している方は6割程度。まだまだ参加経験者は少ない。
●講演会や治験満足度調査等の各取り組みに関しては一様に評価が高く、差は見られない。

治験情報を見つけやすくするため取り組みを実施

●情報源は「治験紹介サイトからの案内」が最も多く、次いで「主治医」。「自分で探した」方は1割強に留まる。
●「治験情報をなかなか見つけることができなかった」と回答した方は4割強であり、情報にアプローチしにくいという方が、一定数いることが窺える。
●自分で探した方の中で「製薬会社HP」を見たと回答した方はいなかった。
●患者さんが治験情報にアプローチしやすい環境の整備が必要であり、そのための手段としての「製薬企業HP」の役割についても再考が求められる。

治験内容は具体的な改善策の検討が必要

治験結果の提供
自分が参加した治験の結果は8割超が知りたいと回答したが、実際に知る機会があったのは3割。ただし「結果を知りたくない」と答えた16%の方に対する配慮も必要(情報提供を望む方のみへの情報配信の必要性)。

●TYLの作成
TYLとして感謝を伝えることは8割超で評価されるものの、実際は1割程度しか受け取ったことが無い。またTYLの意義として、医薬品開発への貢献を感じた方が7割弱と最も多い。治験参加に対する感謝だけでなく、治験結果の伝達と合わせた情報提供が適切と考えられる。

●ICFの検討
ポジティブな意見を持つ方々の回答であっても、同意説明文書は3割超が「読みづらい、分かりづらい」と回答。治験における同意の意義を考えると改善の余地を残している。

●治験コーディネーターの役割
FA内にCRCに関する記載が複数見られた。CRCの印象によっても治験の印象が変わってくると言える。
●以下FAより一部抜粋
「治験コーディネーターさんが寄り添ってくださったので相談がしやすかった(50代/女性)」「治験コーディネーターの方と副作用などいろいろ話を聞いてもらえたので心強かった(50代/女性)」 
「治験の途中で分からないと感じた事があったが、質問できる雰囲気ではなかった。医師、コーディネーター共に非常に忙しそうであった(50代/男性)」

調査概要

調査内容:PC/PPI活動に対する取り組みに関するアンケート

調査対象:201名/がん90名、希少疾患・難病16名、CNS領域疾患104名(重複有)

実施時期:2023年3月10日~2023年3月27日

調査手法:「生活向上WEB」、「オンコロ」、「レアズ」でのWebアンケート

実施機関:3Hクリニカルトライアル株式会社
調査企画:3Hメディソリューション株式会社

調査内容:PC/PPIの活動、治験情報提供、同意説明文書、分散型臨床試験(DCT)などに関して質問

本調査結果の引用・転載時には、必ず下記の明記をお願い致します。
<3Hメディソリューション株式会社 調べ>と明記ください。

3Hでは、患者目線を取り入れた医薬品開発の支援をおこなっております。PC/PPI活動をご検討の際は、是非ご連絡ください。