治療用アプリに関する自主調査

日本国内では、ニコチン依存症や高血圧症などの治療用アプリが薬事承認され、保険適用も進んでいます。対象疾患は不眠症などにも拡大しており、開発が活発化しています。

一方で今後の普及には、医師や患者の理解促進、導入・運用体制の整備、開発コストと収益性のバランスなどが課題として挙げられます。

そこで、今回3Hでは、患者さんや市民の方が治療用アプリについてどのように感じているか自主調査を実施しました。関係各社の治療用アプリ開発や普及・患者さんの治療選択肢の拡大に少しでも参考になれば幸いです。

調査サマリー(定量)

①治療用アプリの認知度は非常に低い

アンケート結果では、治療用アプリがあることを知らなかったとする回答者は75%にも上り、一般的な認知度は非常に低いことが示唆された。

②認知度に比べると効果を期待する人は半数ほど

治療用アプリの効果を「期待できる」、「少し期待できる」と回答した人は合わせて48%。「わからない」との回答は、42%。

効果に期待を持つ人と判断できない人で大多数を占めた。


③高血圧患者さんの回答は、利用意向が高くなった

利用意向を示した回答は、全体が54%だったのに対し、治療補助アプリが上市されている高血圧患者さんに絞ると69%と10%以上増えた。

この調査だけでは判断できないが、この調査を通じて自身の疾患の治療補助アプリがあることを知り、利用意向が高まった可能性がある。

Findings

治療用アプリの現状の認知度・理解度は低いものの、興味関心を持っている人も一定数おり、治療用アプリのことを知ってもらうことで、ニーズが高まり、より普及していく可能性を感じた。

治療用アプリ(デジタルセラピューティクス)をご存じですか? (N=685)

回答者685名のうち、処方されたことがあると回答した方は、わずか3名。全体の0.4%しかいなかった。知っていると回答した方も7%となった。

知らないと回答した方は513名と75%に上り、治療用アプリがまだまだ認知されていない状況がうかがえる。

#Point

まだまだ治療用アプリに関して啓発活動が必要な段階だと思われる。

治療用アプリ(デジタルセラピューティクス)をご存じですか?(高血圧患者:N=85 )

治療補助アプリが上市されている高血圧患者さんの結果を抜粋した。

全体85名に対し、処方された方は1名で全体の1%。知っていた方も6名と7%に留まった。

対象の治療補助アプリがある疾患でも認知度については、全体と大きな差は見られなかった。

#Point

治療選択肢として、高血圧治療補助アプリがあまり提示されていない可能性がある。

治療用アプリを利用することによって治療効果や治療補助となる効果は期待できると思いますか? (N=685)

「わからない」と回答した人が287名と全体の4割を占めている。まだまだ情報提供が必要と思われる。

一方で効果を「期待できる」は92名で13.4%、「少し期待できる」が239名と34.9%と合わせると半数近くを占めている。

#Point

治療アプリの認知度に比べると、治療効果の期待感がある程度見られた。ニーズが全くないわけではなく、普及の可能性が感じられる。

治療用アプリを利用することによって治療効果や治療補助となる効果は期待できると思いますか?(高血圧患者:N=85)

治療補助アプリが上市されている高血圧患者さんの結果を抜粋したところ、期待できないとの回答が0名だった。

その他は、傾向は全体と比べても大きく変わらなかった。

今後、医師から治療用アプリが処方される機会があれば、使いたいと思いますか?(N=685)

「使いたい」と回答した人は19.7%、「少し使いたい」と答えた方は33.9%となった。合わせると半数を超える回答者に利用意向があることがわかった。

#Point

半数に利用意向があるとするならば、啓発活動や治療の選択肢として説明していくことで利用増につながる可能性がある。

今後、医師から治療用アプリが処方される機会があれば、使いたいと思いますか?(高血圧患者:N=85)

回答者を高血圧患者さんに絞ると「使いたい」が30%、「少し使いたい」が39%となり、利用意向を持つ人の割合は、全体の54%に対し69%に増加した。「わからない」との回答が29.5%から18.8%まで減少している。

#Point

利用意向に関しては、高血圧患者さんに絞ると高くなる結果となった。アンケートを通して、高血圧の治療補助アプリがあることを知ったことが影響している可能性がある。

調査概要

調査内容:治療用アプリの一般的な認知度を把握し、今後の治療用アプリ普及に向けた活動の一助とする。

調査対象:685名/全国

実施時期:2025年4月30日~2025年5月30日

調査手法:治験情報サイト「生活向上WEB」にてWebアンケートを実施

実施機関:3Hメディソリューション株式会社

本調査結果の引用・転載時には、必ず下記の明記をお願い致します。
<3Hメディソリューション株式会社「生活向上WEB」調べ>と明記ください。

3H及びエムスリーグループでの治療用アプリ、SaMD、non-SaMD関連支援サービス

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AIによる定性コメントに関する分析(参考)

回答者は治療用アプリに対し、利便性や治療効果への期待と、情報不足や操作性に関する懸念を抱いています。

期待点としては、主に以下の点が挙げられます。
●手軽な利用と自己管理促進:スマートフォンでいつでもどこでも手軽に利用できる点が大きなメリットです。記録忘れや薬の飲み忘れ防止に役立ち、自身の状態を客観的に把握しやすく習慣化できるため、健康意識の向上や生活習慣の改善につながると期待されています。

●治療への効果と信頼性:通院の手間を省き、医師との連携をスムーズにする可能性も指摘されています。薬事承認や医師からの処方があれば信頼性が高く、治療効果向上への期待も存在します。新しい医療体験への好奇心から、治験やモニターへの参加意欲も高い傾向にあります。

一方、多くの回答者が「わからない」と回答しており、以下の懸念点が顕著です。
情報不足と信頼性の欠如:アプリの具体的な内容や機能が不明であることへの不満が大きく、「信用できない」「効果が不明」といった信頼性への疑問や、プライバシー・セキュリティに関する不安も挙げられています。

操作性と継続性の課題「使いこなせるか不安」「操作が難しい」「面倒」「補助効果」にとどまるという認識や、患者の意欲に依存するという意見も見られます。

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