代表メッセージ

非常識だったものを常識に変える

3Hの創業のきっかけは、創業者である安藤からインターネットを活用して治験の被験者募集をしたいという相談をもらったことです。当時エンジニアだった私は「それなら治験の情報サイトをつくってはどうか」とモバイルサイトを開発したところから始まりました。

最近は、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の開発についてたくさんニュースが流れているので、治験について知っている方も増えてきています。しかし創業当初は、日本での治験の認知度は低く、製薬業界での被験者募集企業のイメージもとても低かった。そんな中、セミナーや勉強会、業界団体への働きかけや品質向上、海外最新手法の導入など、さまざまな取り組みを行いました。

いまでは主な製薬企業であれば、ほとんどが利用したことがあり、被験者募集を使うことが、ごく当たり前になっています。課題解決のために、過去、非常識だったものを、常識にしていく。
そうした草の根的な努力を、3Hは続けてきました。

事業自体が社会貢献

3Hの事業は、被験者募集から始まりましたが、その根底には、「患者さんのためになるのか」「医療現場の役に立てるのか」「製薬企業の課題は解決できるのか」といった思想があります。その考え方のもと、医療ニーズの高い、がんや難病・希少疾患領域では、がん情報サイト「オンコロ」や希少・難病情報サイト「レアズ」といったサイトを立ち上げました。いま注力しているのが、DCT(Decentralized Clinical Trials)といわれるオンラインや被験者宅への訪問などを活用し、医療機関に来院しない、もしくは来院回数を減らす治験の取り組みです。テクノロジーを利用することで、患者さんの負担を減らし、今まで参加が難しかった治験にも入りやすくなります。

昨今、企業には持続可能な社会への取り組みが求められています。SDGsやCSRなど社会貢献活動を意図的にやらないといけない会社が多いなかで、3Hの事業は、そのまま社会貢献につながっています。最近ですと、新型コロナウイルスの国産ワクチンの治験に2,000名以上の方が3Hの治験情報サイトを通して参加しています。治療薬の開発にも大きく貢献しました。このようにITを活用して、医療や健康の課題解決に貢献しています。

デジタルもアナログも重要

一方で、エンジニア出身の自分が言うのもなんですが、医療の業界は、受け手のことを考えずに、テクノロジーだけで進めると、うまくいきません。大切なことは、その技術ややり方が、利用してくれる人が受け入れてくれるようになっているか。導入することで社会の役に立つか。いま、力をいれているDCTに関しても手段の一つでしかありません。

治験は、新薬開発において欠かせないプロセスです。新しい薬を出す意味は、今まで治せなかった病気を治すとか、より良い治療をするとか、より長く健康に過ごせるなど、人々の幸せためにあります。良い新薬を早く出していくことが、世の中的にも良いわけです。その目的を達成するには何が良いかというと、治験のプロセスをどれだけ短くするか、どれだけコストを下げるかだと思います。それを実現するためには、テクノロジーはもちろん、医療的な専門性や、患者視点が必要になります。デジタル的なこともアナログ的なことも必要なのです。医療や患者課題の解決のために、イノベーティブなことに挑戦する―――3Hの大きな強みだと思います。

死ぬ間際に人生の意味を感じたい

こうしたマインドに共感できる方と一緒に、世の中の医療やヘルスケアをより良い方向へ変えていく試みに取り組んでいきたい。今、3Hにいるメンバーも自分本位で考えるのではなく、自身の仕事が世の中にどう役に立つかということを大事にしている人が多い。能力だけが高くても、うまくいかない。そのうえで、医療をより良い方向に変えていけることに、価値を感じられるかが重要だと思っています。

今は、予測不可能な時代と言われていますが、人が幸せを追求していくこと、その本質は、今も昔も変わりはないと思っています。私は、自分の人生に意味があったと死ぬ間際に感じたい。それが幸せな人生ではないかと思います。そしてその意味を3Hなら感じることができる。仕事で社会に貢献し、生きる意味を感じ、誰もがらしく生きる社会の実現向けて、3Hとともに取り組んでいきます。

3Hクリニカルトライアル 代表取締役 滝澤 宏隆
米国カルフォルニア州立大学にて学位を取得。損害保険会社、ゲーム開発会社のシステム開発、Webサイト開発を担当。ITによるヘルスケアイノベーションを目指し、2005年に株式会社クリニカル・トライアルの立ち上げに参画し、業界に先駆けて被験者募集システムを構築。
2009年に代表取締役に就任。